起業家に必要な「決断する力」

決断する力

起業後、私が最も苦しいと感じたのは「決断すること」だった。

起業前、私は事業に対する「提案」を何度もしてきたが、最終的に「決断」したのは自分自身ではなく事業部長だったし、営業マンとしてクライアントの社長に億単位の提案をしたこともあるが、最終決定したのはもちろんクライアントの社長だ。

要するに起業前の私は「決断」をする経験を全くしていなかったのだ。

この「提案する力」と「決断する力」は全く違う能力であり、「決断する」ほうが「提案する」よりも数倍苦しいものだということを起業後に初めて知った。

DeNA創業者南場さんの著書「不格好経営」にも、こんな記述がある。

コンサルタントとして「A案にすべきです」というのは慣れているのに「A案にします」となると、突然とんでもない勇気が必要になる。コンサルタントの「するべき」も判断だ。しかし、プレッシャーの中での経営者の意思決定は別次元だった。「するべきです」と「します」がこんなに違うとは。

私も先述の通り、クライアントの経営陣に対して「●●にするべきです!」と言ってきたし、自分の提案が通らないと「あそこの社長は分かっていない!」と思うこともあったが、自分が当事者となり「本当に分かっていないのは自分だったのだ」と心から理解した。

南場さんが書かれている事業判断と、私の事業判断は次元が全く違うものだが、大小問わず「決断をする当事者」にならないと本当の苦しさは分からないのだと思う。

「決断する力」をつけるには

ではどうすれば「決断する力」をつけられるのか?

それは社長や事業部長など経営判断ができるポジションに就くしか方法はない。
私も起業後に理解できたが、決断する力は経験によってしか磨くことができないのだ。

決断にあたっては、

①情報を集める(主に自社・競合・マーケット情報)
②集めた情報を整理・分析する
③決断をする

というプロセスを踏むが、このプロセスを何度も経験し、成功と失敗を繰り返すことで、注視すべき勘所を理解できるのである。

この力は大企業の管理職(部長・課長)よりも、ベンチャー企業で事業部長以上のほうが磨かれると思う。流れが遅い大企業の管理職は決断回数が少なく、会社を大きく変えるような決断権限はない。しかし、流れが速いベンチャーの事業部長は決断回数が多く、会社を大きく変える決断ができるからだ。

ただし、事業部長以上の経験がないまま起業する方も悲観はしないで欲しい。

決断にはいくつかのポイントがあり、先に紹介した「不格好経営」でもポイントがわかりやすくまとめられているので紹介したい。

①「正しい選択肢」を選ぶことは重要だが、「選んだ選択肢を正しくする」ことがより重要である。
②不完全な情報に基づく迅速な意思決定は、充実した情報に基づくゆっくりとした意思決定に数段勝る。
③実行する前に集めた情報などたかが知れている。本当に必要な情報は当事者となって初めて手に入る。

決断力がない方は、この3つを意識するだけで決断力が大きく変わるだろう。

決断する力だけでなく、起業後のチームの雰囲気の作り方含め「不格好経営」には参考になる情報がまとめられている。起業を考えている方はぜひ一度読んでみてはどうだろうか?