経営において問題が発覚するのは良いことである

新型コロナウイルスによる事業影響、顧客クレーム、システム障害、資金繰り、人材採用・育成・社員の退職・・・

現時点で上記のような問題に直面している経営者の方も多いのではないだろうか?

8年前、起業したばかりの私も毎日のように増えていく問題を前に心身ともに疲れ果てることが多かった。

「どうすれば現状を改善できるのか?」
「どのような優先順位で解決すればよいのか?」

増え続ける問題を前に立ち止まってしまっていた当時の私に、ある先輩経営者がこうアドバイスをしてくれた。

問題発見力の重要性

先輩:「問題が出てくることは良いことなのに、何でそんなに悲観するの?」

私:「問題が出てくるのが良いこと何て聞いたことないですよ。自分の実力不足が露呈しているだけじゃないですか。」

先輩:「本当に実力がない経営者は会社の問題を発見できずに会社が衰退していく。問題を発見できているなら解決すれば良いだけ。だから問題が出てくるのは良いことなんだよ。」

このとき私は「憂鬱じゃなければ仕事じゃない」という本に書かれている見城徹さんの言葉を思い出した。

僕は、朝起きると、必ず手帳を開く。自分が今、抱えている仕事を確認するためだ。そして、憂鬱なことが三つ以上ないと、かえって不安になる。
ふつう 人は、憂鬱なこと、つまり辛いことや苦しいことを避ける。だからこそ、あえてそちらへ向かえば、結果はついてくるのだ。
楽な仕事など、大した成果は得られない。憂鬱こそが、黄金を生む。

問題を解決すれば前進できるし、解決する問題が大きいほど成長が大きいことも確かである。
憂鬱になことがないほうが不安になるという見城さんの考え方は理解しやすかった。

その後も先輩経営者からアドバイスをもらったが、まとめるとこういうことだった。

経営に必要な力は「問題を発見する力」と「問題を解決する力」である。
問題が次々と出てくるということは「問題を発見する力」があるということである。
発見した問題を解決すれば成長できるが、問題が発見できなければ一歩も成長できない。
「経営者としての実力のなさ」を悲観していた当時の私も、経営を続ける中で「問題が出てくることは良いこと(成長の機会)だ」と徐々に意識を転換させることができるようになっていった。

問題が浮き彫りになると人は本気になる

その先輩経営者は続けてこう教えてくれた。

先輩:「ダイエットを何度も失敗している人が、健康診断で体重を指摘された途端、ダイエットに成功するケースってあるよね?」

私:「確かに、そういう方は身近にも沢山いますね。意外と数年後に再度太ってしまう人もいますが・・・」

先輩:「ダイエットも問題が浮き彫りになれば解決できる。しかし、油断するとまた元に戻ってしまう。それと同じことが経営でも起きているんだよ」

最初はピンとこなかったが、その後の話を聞いて私は深く納得することができた。

健康診断の結果のように明確に問題を突きつけられると人は本気で問題を解決しようとする。
しかし、問題が解決すると再び楽をしてしまう。
つまり、経営の仕事の本質は
「問題を発見し、問題を解決し、問題が再発しない仕組みを作り続けることである」

ということだった。

今まで浸透しなかったテレワークが「新型コロナウイルス問題」により一気に浸透したことも、この考え方と同じだと言えるだろう。

問題が浮き彫りになれば人は本気で解決することができるのだ。

そう考えると、問題が次々に出てきても成長の機会をもらっていると考えられるし、ストレスも軽減されるのではないだろうか?

「問題を発見し、解決し、再発しない仕組みを作り上げること」こそが経営の本質だと今は理解している。